ガン専門病院
3年前、会社の人間ドッグを受けた渋谷の総合病院で、乳がんの確定診断を受けた。
乳がんが2センチくらいまで成長するには、10年位かかるということだけど、私の場合は、毎年エコーやマンモグラフィーをやっていたにもかかわらず、いきなり2センチ超えの乳がんが見つかった。
ずっと見過ごされていたのか、あるいは、成長の早いガンだったのか?
毎年検診をして、早期に乳がんを発見しましょう、って何?
乳腺科の医師は、乳がんの標準治療は、どこでやっても同じだから、一緒にがんを直しましょうと言ってくれたが、見過ごされた病院で治療を受ける気はしなかった。
やっぱり、ガン専門病院でしょう、ということで、がん研有明病院と国立がん研究センターという二つの選択肢を考えたが、まあ、乳がんなので、がん研あたりが妥当かなということで、がん研を選んだ。
もし、膵臓がんだったら、迷わず国立のほうを選んでいただろう。
がん研有明病院は巨大病院である。
初めて訪れた時、まず感じたのは、この待合室にいる百人近い患者達は、皆ガン患者なんだなあという驚きだった。
時々、点滴を引いた入院患者を見かけることはあるけれど、外来患者の殆どは病人には見えない。
年代も様々だ。
ガン患者は、孤独だが、ここには、こんなに仲間がいる。
今回、再発への恐怖を抱えて来院したが、大勢のガン患者の中に紛れ込んで、何だかほっとした。
目が合うと、あなたもガンですか、そうは見えませんね、お元気そうですね、と心の中で語りあっているような気がする。
診察の結果は、他の病院でCTをとって、転移性肺がんと確定診断がでたら、戻ってきて下さい、とのことだった。
ガン専門病院の線引きは、はっきりしている。